ワクチン新聞

ワクチン新聞  最新号

令和元年(2019)冬号 最新号

海外から日本に持ち込まれる感染症 -麻しん、風しん

日本を訪れる外国人旅行者数が急激に増加しています。訪日外国人旅行者数は2015年には1,974万人でしたが、年々増加の一途をたどり、2018年には3,119万人と大幅に伸びています*1。2018年の訪日外国人旅行者の国籍地域別の内訳は、東アジア73.4%、東南アジア・インド11.2%、欧米豪11.6%で、多くの人がアジア近隣諸国から日本を訪れています*2。日本政府は訪日外国人旅行者を増やす政策をとっており、2020年には4,000万人、2030年には6,000万人にする目標を掲げています*3。
国境を越えて人や物資が移動すると、経済成長や地域の活性化が期待される一方で、特に人から人に感染する感染症は世界規模で拡散しやすい状況になります。実際に、日本は2015年に世界保健機関(WHO)から「麻しん排除国」の認定を受けましたが、その後も麻しんウイルスに感染している訪日外国人旅行者を発端とした集団感染が発生しています。風しんについても、2018年にはアジアおよびアフリカを中心に世界で約1万3千人の患者が報告され*4、日本でも渡航先で感染して帰国後に発症する人の割合が増えています*4。感染症の国内への持ち込みと感染の拡大を防ぐために、検疫所などで水際対策を強化するとともに、国内ではワクチンの接種が推進されています。
麻しんは、麻しんウイルスによる感染症です。空気感染するためマスクや手洗いを励行しても予防が難しく、麻しんのワクチンを接種して免疫を獲得しておくことが大切です。もし麻しんを疑う症状(発熱、せき、鼻水、目の充血、発しんなど)があるときは、マスクを着用し、登校、出社などは控えてください。周囲の人に感染する期間は、症状出現の1日前から解熱後3日を経過するまでです。医療機関を受診する際は事前に電話で連絡し、主症状や麻しん患者との接触などを伝えましょう。
風しんは、風しんウイルスによる感染症です。症状の3徴候(発しん、発熱、リンパ節の腫れ)が揃わない場合もあり、臨床症状のみで診断することは困難です。また、不顕性感染(ウイルスに感染しても症状がでないまま免疫ができる)が15~30%程度あると考えられています*5。一方で、周囲の人に感染する期間は、発しんが出現する7日前から、発しん出現後7日目頃まで続きます。風しんの流行に伴う最大の問題点は、妊娠初期(20週頃まで)の妊婦が感染すると風しんウイルスが母子感染(胎内感染)し、赤ちゃんに先天性風しん症候群と呼ばれる障がいを引き起こすリスクがあることです。30~50歳代の成人男性の約20%は風しんの免疫が十分ではなく、成人男性が感染し、さらに、妊婦に感染を広げる可能性があります。風しんに対する抗体価が十分でない場合は、男女ともに風しんワクチンを接種して免疫を獲得しておくことが大切です。ただし、妊婦は風しんワクチンの接種はできません。
*1 観光庁:訪日外国人旅行者数・出国日本人数
*2 日本政府観光局:日本の観光統計データ:2018 年各国・地域別の内訳
*3 内閣府:明日の日本を支える観光ビジョン
*4 外務省:海外安全ホームページ:海外における麻しん(はしか)・風しんに関する注意喚起(その2)
*5 国立感染症研究所:風しんとは(https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/430-rubella-intro.html)

開く

感染症Q&A

Q.麻しんの感染力はどれくらい強いのですか?
A.麻しんは「はしか」とも呼ばれます。感染力はきわめて強く、麻しんに免疫がない集団の中では、1人が麻しんにかかると12~18人にうつすとされています(インフルエンザでは1~2人)*6。不顕性感染はほとんどなく、麻しんウイルスに感染した者の90%以上が発症します。子どもだけではなく、麻しんに免疫がない成人も感染に注意が必要です。感染経路は空気感染、飛沫感染、接触感染です。主症状は発熱や咳、鼻水など風邪のような症状と発しんで、肺炎や脳炎など重い合併症を起こすこともあります。
*6 作成:国立感染症研究所感染症疫学センター、監修:文部科学省・厚生労働省:学校における麻しん対策ガイドライン第2版

開く

ワクチン質問箱

質問:風しんの流行状況について教えてください
回答:風しんは2013年に流行して14,344人の患者が報告されましたが、その後数年間は減少傾向に転じました。ところが2018年は2,946人、2019年は第38週時点で2,196人の患者が報告されるなど*7、国立感染症研究所から風しん急増に関する緊急情報が発出されています。風しんの流行の中心は30~40歳代の男性で、成人がかかると症状が重くなることがあります。女性患者は妊娠出産年齢である20~30歳代に多くみられます。妊娠初期の妊婦が感染すると、生まれてくる赤ちゃんの目、耳、心臓に障がいが起こることがあります。風しんはワクチンで予防できる疾患です。感染を拡大させないためにも、社会全体が風しんに対する免疫を持つことが重要です。
*7 国立感染症研究所 感染症疫学センター:風疹流行に関する緊急情報:2019年9月25日現在

開く

ミニコラム

成人男性への風しんの第5期定期予防接種(2019~2022年3月31日)が行われています
1962(昭和37)年4月2日から1979(昭和54)年4月1日生まれの男性を対象に、無料で風しんの抗体検査と予防接種を受けられるクーポン券が自治体から順次送付されています。職場の定期的な健康診断でクーポン券を利用できるケースもあるので、勤務先や市区町村へお問い合わせください。万一、クーポン券を紛失した場合は、市区町村へお問い合わせください。

開く
資材のPDFがダウンロードできます。

啓発用としてご自由にお使いください。
get_adobe_reader

PDFファイルの閲覧にはAdobe Reader(無料)が必要です。最新版をお持ちでない方は、バナーをクリックするかこちらよりダウンロード、インストールを行ってください。