ワクチン新聞

ワクチン新聞  最新号

令和2年(2020)夏号① 最新号

蚊が媒介する日本脳炎にご注意ください

蚊が媒介する感染症のひとつに、日本脳炎があります。蚊(日本では主にコガタアカイエカ)が日本脳炎ウイルス(Japanese encephalitis virus:JEV)に感染したブタを刺咬・吸血し、そのあと人間を吸血することで人にも感染します。日本脳炎ウイルスを保有する蚊に刺されても多くの人は症状が出ませんが、100~1,000人に1人程度が日本脳炎を発症すると考えられています。症状は高熱、頭痛、嘔吐などに続き、光への過敏症、意識障害(意識がなくなる)、けいれんなどが起こります。日本脳炎を発病すると、20~40%程度が亡くなり、回復しても約半数に重い後遺症が残ります*1。
1960年代まで、日本では年間数千人の方が日本脳炎を発症していましたが、現在では日本脳炎ワクチンの普及や生活環境の変化などによって報告数が減少し、1992年以降は年間10例ほどになりました*2。
しかし、依然として、国内で新たに日本脳炎ウイルスに感染するブタは毎年多数確認されており(図)、人への感染が起こるリスクが高くなっている地域もあると考えられます*3。ブタの日本脳炎ウイルス感染が高い地域では、実際に日本脳炎の患者数が多い傾向が見られます。日本脳炎の予防接種を受けていない人、特に乳幼児や高齢者は蚊に刺されないように注意しましょう。新型コロナウイルスの感染拡大を予防するため「新しい生活様式」が提唱されていますが、ワクチン接種や乳幼児健診はしっかり受けるべきという見解が日本小児科医会からも出されています*4。医師に相談の上、ワクチン接種のスケジュールを立てましょう*5。
*1 国立感染症研究所:日本脳炎Q&A第5版(平成28年12月一部改定)https://www.niid.go.jp/niid/ja/je-m/524-idsc/6974-qaje-v5.html
*2 日本小児科学会:知っておきたいワクチン情報:No.19日本脳炎ワクチン
*3 国立感染症研究所:ブタの日本脳炎抗体保有状況-2019年第6報-(2020年1月6日現在)https://www.niid.go.jp/niid/ja/id/2074-disease-based/na/je/idsc/yosoku.html
*4 日本小児科医会ホームページ https://www.jpa-web.org/dcms_media/other/
covid19_2000_0511_design.pdf
*5 NPO法人VPDを知って、子どもを守ろうの会:新型コロナウイルス感染症と予防接種に関するQ&A https://www.know-vpd.jp/faq/20711.php

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日本脳炎ワクチンは定期接種です

日本脳炎予防対策の中心は、ウイルスをもつ蚊に刺されないことと、日本脳炎ワクチンの接種です。ワクチン接種により、日本脳炎にかかるリスクを75~95%ほど減らすことができると報告されています。
日本脳炎ワクチンは、定期接種として計4回接種します。第1期接種の対象年齢は生後6~90か月(7歳6か月)未満となっており、標準的な接種時期は3~4歳までの期間に開始し、6日以上(標準的には6日から28日まで)の間隔をあけて2回目を接種します。この2回の接種を受けると、日本脳炎ウイルスに対する免疫(中和抗体)が体に備わります。2回目の接種から6か月以上の間隔をあけて(標準的にはおおむね1年後)、4~5歳までの期間に1回を追加接種します。これによって免疫がさらに高まります。
しかしながら、ワクチンで得た免疫は年月の経過に伴って少しずつ下がります。そこで第2期接種を行って免疫を再び高めることで、免疫を長く持続できると考えられています。第2期接種の対象年齢は9~13歳未満となっており、標準的な接種時期は9~10歳までの期間に1回接種します。

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ワクチン質問箱

質問:日本脳炎ワクチンの標準的な接種時期は3歳から質問ですが、より低年齢から接種できますか?
回答:日本脳炎ワクチンの1期の標準的接種時期は3歳からとされていますが、定期接種は生後6か月以上から可能です。日本脳炎の患者さんが比較的多く報告される地域や、日本脳炎の流行する海外地域に渡航・滞在するお子さんなどに対して、生後6か月から日本脳炎ワクチンの接種を開始することが日本小児科学会から推奨されています*6。
*6 日本小児科学会:日本脳炎罹患リスクの高い者に対する生後6か月からの日本脳炎ワクチンの推奨について https://www.jpeds.or.jp/modules/news/index.php?content_id=197

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感染症Q&A

Q.日本脳炎ウイルスは人から人へ感染しますか?
A.日本脳炎ウイルスに感染した人から周囲の人へと感染が広がることはありません。日本脳炎ウイルスに感染したブタから、蚊を介して人に感染が伝播します。一般に日本脳炎の感染リスクは、農村部で高く、都市部で低いと考えられます。しかし、コガタアカイエカは活動範囲が広いため、都市部であっても日本脳炎に感染するリスクはゼロではありません*7。一方で世界に目を向けると、日本脳炎はアジアの多くの国で発生しており、毎年約6万8千人の患者さんが発症していると推測されています。
*7 厚生労働省:日本脳炎ワクチン接種に関するQ&A(平成28年3月改訂版)

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ミニコラム

蚊に刺されない工夫を
日本脳炎を媒介するコガタアカイエカは日没頃から活発に行動し、活動範囲(飛行距離)は2kmほどです。特に夕暮れ時以降に外出する場合は、蚊に刺されないために忌避剤(虫よけスプレー、蚊取り線香など)の使用、長袖・長ズボンの着用(肌を露出しない)などの対策が大切です。

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