ワクチン新聞

ワクチン新聞

令和4年(2022) 早春号

遅らせないで!麻しん、風しんの予防接種

新型コロナウイルス感染症の流行で、MR(麻しん・風しん混合)ワクチンの予防接種率が低下しています。神奈川県のMRワクチンの接種本数を、流行前後の2019年と2020年で比較したところ、2020年のMRワクチンの第1期※1の接種本数は2019年の95.3%、第2期※1は約半分の52.8%まで減少したことがわかりました*1。感染を恐れて医療機関での予防接種をためらう親御さんが多く、特に第2期は「子どもが大きくなってきたから少しくらい遅れても大丈夫」という過信も影響したとされています。
麻しんは感染力が強く、免疫を持たない人が感染するとほぼ100%発症します。日本は2015年に麻しんの排除状態にあるとされましたが、海外から持ち込まれた異なる型の麻しんウイルスによって流行が繰り返されています。また、風しんは2013年の流行以降減少傾向でしたが、2018年に成人を中心に再度増加しました。麻しんや風しんにかかると、成人や乳幼児の健康に様々な悪影響があり、特に免疫が十分でない妊娠20週頃までの女性が感染すると、先天性風しん症候群の赤ちゃんが生まれる危険性が高まるとされています。
日本小児科学会の定期予防接種スケジュールは、子どもにとって最も理想的な接種時期を想定して作られており、新型コロナウイルス感染症が流行していても通常通りワクチンを接種することが推奨されています。麻しんや風しんなどのワクチンで予防可能な病気(VPD)から子どもを守るために、スケジュールに沿って予防接種を受け、やむを得ず接種を見合わせたワクチンがある場合は、医師に相談の上なるべく早期にキャッチアップ※2しましょう。
※1 MRワクチンの第1期は1歳代で1回接種します。第2期は小学校入学前年(通常、幼稚園、保育所の最年長児)の1年間に1回接種します。
※2 予防接種におけるキャッチアップとは、年齢ごとに定められた、または推奨される予防接種スケジュールを完了できていない人が、後追いで予防接種を受けて必要な免疫を得ることをいいます。
*1 国立感染症研究所:病原微生物検出情報月報 Vol.41 No.9(No.487)
https://www.niid.go.jp/niid/images
/idsc/iasr/41/487.pdf

開く

赤ちゃんだけじゃない、百日咳にご注意

百日咳は息が吸えないほどのひどい咳が続く病気です。月齢の低い赤ちゃんが感染すると、まれに肺炎や脳症など、命にかかわる重い症状を引き起こすこともあります。また、乳幼児期に接種した百日せきワクチンの免疫効果は次第に減っていくといわれています*2,3。7歳をピークとした5~15歳未満の子どもの発症や成人の感染者も報告されており*4、これから就学を迎えるお子さんも注意が必要です。
日本小児科学会では、5~6歳および11~12歳のお子さんたちへの百日せきワクチンの追加接種を推奨しています。任意接種にはなりますが、就学前に百日せき含有ワクチン[三種混合ワクチン(DPT)]を接種できるほか、11~12歳の定期接種である二種混合ワクチン(DT)の代わりにDPTを接種することができます*5。わからないことがあったら、接種するワクチンや接種時期について、かかりつけ医に相談しましょう。
*2 Wendelboe AM, et al. Pediatr Infect Dis J. 2005; 24(5 Suppl): S58-S61.
*3 McGirr A, Fisman DN. Pediatrics. 2015; 135(2): 331-343.
*4 国立感染症研究所:全数報告サーベイランスによる国内の百日咳報告患者の疫学(更新情報)-2019年疫学週第1週~52週-
https://www.niid.go.jp/niid/ja/pertussis-m
/pertussis-idwrs/9463-pertussis-20200306.html
*5 日本小児科学会:日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール(2021年3月改訂版)
http://www.jpeds.or.jp/uploads/files
/vaccine_schedule.pdf

開く

ワクチン質問箱

質問:ワクチンの正しい情報を得るにはどうしたらよいですか?
回答:安全性に対する不安からワクチン接種をためらうことにより、本来ワクチンで予防可能な病気が流行してしまうことがあります。多くのワクチンに関する情報があふれているなか、正しい情報を選び取ることがより重要になってきます。日本小児科学会では「知っておきたいわくちん情報」という予防接種の情報を提供しています*6。信頼できる情報源から正確な情報を得て、病気を予防しましょう。
*6 日本小児科学会:日本小児科学会の「知っておきたいわくちん情報」について
http://www.jpeds.or.jp/modules/general/index.php?content_id=22

開く

感染症Q&A

Q.ポリオは日本ではもう発生していませんが予防接種は必要ですか?
A.日本のポリオ患者数は1960年に5,000人を超え、かつてない大流行となりましたが、生ポリオワクチンの導入により流行はおさまりました。海外では依然としてポリオが流行している地域がありますが、仮にポリオウイルスが日本国内に持ち込まれても、現在ではほとんどの人が免疫を持っているので、大きな流行になることはないと考えられます。しかし、予防接種を受けず免疫を持たない人が増えると、再びポリオの流行が起こる可能性が高まります。そのため、定期接種としてポリオの予防を含む4種混合ワクチン(ジフテリア、百日せき、破傷風、ポリオ)の接種は必要です。

開く

ミニコラム

感染対策による「手荒れ」を予防しましょう
感染対策として手洗いやアルコールによる手指消毒を行う機会が増えました。頻回な手洗いやアルコール消毒は、使用する石けん、アルコール、水温などによっては皮膚を乾燥させ、手荒れを引き起こします。手荒れは皮膚のバリア機能が低下した状態で、刺激物質や病原体が侵入する原因となることがあります。手指を清潔に保つと同時に、ハンドクリームを使用することが手荒れ防止のためによいとされています*7。手洗いやアルコール消毒を行った後は手指をしっかり保湿し、手荒れを予防しましょう。
*7 McCormick RD, et al. Am J Infect Control. 2000; 28(4): 302-310.

開く
資材のPDFがダウンロードできます。

啓発用としてご自由にお使いください。
get_adobe_reader

PDFファイルの閲覧にはAdobe Reader(無料)が必要です。最新版をお持ちでない方は、バナーをクリックするかこちらよりダウンロード、インストールを行ってください。