高齢者の肺炎球菌感染症
高齢者の肺炎球菌感染症とは

- 肺炎球菌は、主要な呼吸器病原性菌の一つです。肺炎球菌は乳幼児の鼻咽頭に40~60%と高い割合で存在しています。
- 親子以外でも感染は周囲に広がるので(水平伝播)、免疫力が低下する高齢者は注意が必要です。
- 成人が発症する肺炎(市中肺炎と医療ケア関連肺炎)の大半は、菌血症を伴わない肺炎であり、その原因菌の約20%が肺炎球菌です。
- 2015年度の定期接種対象者の肺炎球菌ワクチン(PPSV23)定期接種実施率は33.5%と低く、65歳以上の成人に対する定期接種率の向上が望まれます。
主な症状・経過
- 成人に肺炎、中耳炎、副鼻腔炎などの非侵襲性感染症を引き起こします。
- ときに髄膜炎や菌血症を伴う肺炎などの侵襲性肺炎球菌感染症を引き起こします。
特徴
原因となる病原体 | 肺炎球菌 |
---|---|
感染経路 | 飛沫感染 |
かかりやすい年齢 | 5歳未満の乳幼児と65歳以上の高齢者 冬~春に多い傾向 |
感染力 | 強い |
合併症 | 肺炎、髄膜炎、菌血症 |
この感染症を予防できるワクチン
肺炎球菌ワクチン(13価結合型)
※詳しくはかかりつけ医にご相談ください
<接種対象・スケジュール>
高齢者または肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる人を対象にしています。

肺炎球菌ワクチン(23価莢膜ポリサッカライド)
※詳しくはかかりつけ医にご相談ください
<接種対象・スケジュール>
2歳以上で肺炎球菌による重篤疾患に罹患する危険が高い人が対象です。脾摘患者における肺炎球菌による感染症の発生予防の目的の場合にのみ健康保険適用があります。

【接種の対象】
- 65歳を迎える方
- 60~64歳で対象となる方(ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫の機能に障害があり、日常生活がほとんど不可能な方)
- 2025年度から2029年度までの5年間の経過措置として、その年度内に70、75、80、85、90、95、100歳となる方も対象(100歳以上の方については、2025年度に限り全員対象となります)

国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト 日本の予防接種スケジュール より作図
https://id-info.jihs.go.jp/relevant/vaccine/topics/040/schedule.html
侵襲性肺炎球菌感染症を含む肺炎球菌感染症の好発年齢である5歳未満の小児と65歳以上の成人を対象として、肺炎球菌ワクチンによる予防接種施策が実施されています。
参照:
- 国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト IASR 39(7), 2018【特集】肺炎球菌感染症 2017年 https://id-info.jihs.go.jp/niid/ja/diseases/ha/pneumococcal/8163-461t.html
- 国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト 成人侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)症例の臨床像の特徴と原因菌の血清型分布の解析 https://id-info.jihs.go.jp/niid/ja/typhi-m/iasr-reference/8168-461r05.html