ワクチン新聞

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平成30年(2018)初夏号

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蚊のシーズン到来

わが国には130種ほどの蚊が生息し、うち約10種が吸血の際に日本脳炎やデング熱*1、マラリア*2などの原因となるウイルスを媒介します。蚊は普段は花の蜜などの糖分を栄養にして生きていますが、メスは...

わが国には130種ほどの蚊が生息し、うち約10種が吸血の際に日本脳炎やデング熱*1、マラリア*2などの原因となるウイルスを媒介します。蚊は普段は花の蜜などの糖分を栄養にして生きていますが、メスは産卵準備のために、動物が出す二酸化炭素や匂いなどを感知して飛来し吸血します。
ウイルスを媒介する約10種のうち、日本脳炎を媒介するコガタアカイエカは、水田・用水路・沼などを好んで産卵し、ときに大量に発生します。日本脳炎の感染リスクは一般に農村部で高く、都市部で低いと考えられますが、コガタアカイエカは活動範囲が広く、都市部でも感染リスクはゼロではありません。吸血活動が活発になる時間帯は夕暮れから日没後で、吸血のために屋内にも侵入します。以下のように日常生活を工夫して、ウイルスを持つ蚊に刺されないようにすることが、日本脳炎予防の第一歩です。
(*1 デング熱は熱帯地域および亜熱帯地域で流行。主な媒介蚊はネッタイシマカ。少ないがヒトスジシマカ、ポリネシアヤブカも媒介。世界で年間に推定5,000万人の患者が発生。*2 マラリアは熱帯地域で流行。主に夜間にメスのハマダラカが刺すことによって感染。世界で年間に2.43億人が感染し、86.3万人の死亡が報告される。死亡の多くは年少児。)

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日本脳炎と予防接種

日本脳炎は、蚊が媒介する日本脳炎ウイルスにより引き起こされる重篤な急性脳炎です。日本脳炎ウイルスに感染しても症状が現れない場合がほとんどですが、感染者のうち100〜1,000人に1人が日本脳炎を...

日本脳炎は、蚊が媒介する日本脳炎ウイルスにより引き起こされる重篤な急性脳炎です。日本脳炎ウイルスに感染しても症状が現れない場合がほとんどですが、感染者のうち100〜1,000人に1人が日本脳炎を発症します。日本脳炎は症状が現れた時点ですでにウイルスが脳内に達し脳細胞を破壊しているため、発症者の20~40%が亡くなり、生存者の45~70%に精神障害などの後遺症が残るといわれています。日本脳炎ウイルスに効く薬はないため、予防が最も大切な疾患です。
予防の中心は、ウイルスを媒介する蚊の対策と、日本脳炎ワクチンの接種です。ワクチン接種により、日本脳炎にかかるリスクを75~95%減らすことが報告されています*3。日本脳炎ワクチンは不活化ワクチンで、定期の予防接種として4回接種を受けるよう勧められています。
(*3 厚生労働省:日本脳炎ワクチン接種に関するQ&A(平成28年3月改訂版))

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感染症Q&A

Q.日本脳炎は人から人へ感染しますか?A.人から人への感染はありません。日本脳炎ウイルスはブタなどの体内で増殖し、そのブタを刺した蚊がヒトを刺すことでウイルス感染が広がります。日本脳炎ウイルスに...

Q.日本脳炎は人から人へ感染しますか?
A.人から人への感染はありません。日本脳炎ウイルスはブタなどの体内で増殖し、そのブタを刺した蚊がヒトを刺すことでウイルス感染が広がります。日本脳炎ウイルスに感染したブタは、西日本を中心に毎年多くみられます。日本脳炎ワクチンの接種を受けていない人、特に小児や高齢者は注意が必要です。蚊に刺されない対策と日本脳炎ワクチンの接種で感染や発症を予防しましょう。

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ワクチン質問箱

質問:日本脳炎ワクチンの接種機会を逃した場合、定期接種は可能ですか?回答:平成17年度から平成21年度まで、積極的な接種勧奨が差し控えられたことにより、日本脳炎の予防接種を受けていない人は、不足...

質問:日本脳炎ワクチンの接種機会を逃した場合、定期接種は可能ですか?
回答:平成17年度から平成21年度まで、積極的な接種勧奨が差し控えられたことにより、日本脳炎の予防接種を受けていない人は、不足の回数分を定期接種として受ける機会が設けられています*4。母子健康手帳で予防接種歴を確認しましょう。詳しくはお住まいの地域の市役所や保健所にお問い合わせください。
(*4 平成7年4月2日~平成19年4月1日までに生まれた人は20歳になるまで、平成19年4月2日~平成21年10月1日までに生まれた人は2期対象年齢(9歳以上13歳未満)での特例措置。)

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蚊に刺されると、かゆい理由

蚊は吸血の際に、血液の凝固を防ぐ成分を含んだ唾液を注入します。刺された人は、蚊の唾液に対するアレルギー反応が起こり、皮膚の中にかゆみの原因となる物質(ヒスタミン)が出てくるので、かゆくなります。...

蚊は吸血の際に、血液の凝固を防ぐ成分を含んだ唾液を注入します。刺された人は、蚊の唾液に対するアレルギー反応が起こり、皮膚の中にかゆみの原因となる物質(ヒスタミン)が出てくるので、かゆくなります。また、アレルギー反応により血管が膨張して血管の外に血液の成分がにじみ出るため、刺されたところはぷっくり腫れます。しかしながら蚊による被害で恐ろしいのは、かゆみではなく、日本脳炎、デング熱、マラリアなどさまざまな感染症です。